イルミネーションの前で怒っていた2組のせいで、タバコを吸いすぎた。
日記みたいなものを書く。(※フィクションも入れてます)
先日、久方ぶりに友人と、
(いや友人というほどにはまだ密接な関係性を持ってないのだけれども、ともかく今後の前向きな友好関係を願って、ここは友と呼ぼう。)
そんな、友と呼ぶべき人と、僕と友人と。
かれこれ5人で新年会をすることになっていた。
待ち合わせ場所は市街地の公園だった。
数年前に改装をし、昔のような古びた公園ではなく綺麗になったそこで。
そう今月末まではイルミネーションをやっている、そこで。
僕らは待ち合わせをすることになっていた。
少し早めについた僕はいつものようにタバコに火を灯し、時間を潰していた。
もちろんに周囲のイルミネーションも見て回ったのだけれど、
どうにも「綺麗」という感想以外に、心を動かすものもなく、
ふらりと歩いてはみたが早々に満足してしまい、
タバコを吹かしては、
イルミネーションに歓喜する人達の群れをぼんやりと見ていた。
一本目のタバコを吸い終える頃だろうか。
僕の隣にあるトイレへ駆け込むガタイのいいヤンキー風の青年が目に止まった。
二本目のタバコを吸い始めた時だろうか。
僕の周りに3人の地味な男の子が3人いることに気付いた。
そのうち1人は酔っているのか、はたまた若さ故だろうか、非常に大きな声で携帯を握りしめ電話をかけていた。
耳障りで、少し目障りな光景ではあったものの、どうにもその動きが面白く、僕は三本目のタバコに火をつけるまで、ぼんやりとその男の子(ヲタク)を見つめていた。
そして、三本目のタバコが、ちょうど半分を過ぎるあたりで、そのヲタクは盛大にイルミネーションの柵に足を取られて、ひっくり返っていた。
若いなぁ、元気だなぁ。
三本目のタバコを吸い終え、灰皿に投げ込もうとした時。
先程トイレに駆け込んできたヤンキー風の青年がこちらに歩み寄って来るのが見えた。
彼もタバコを吸うのだろうか?
ああ、違うらしい。
そして、そろそろ待ち合わせ時刻も過ぎて、
連絡を取るかと自分のスマホから相手の連絡先を探そうと思った頃。
そのヤンキーがヲタクと揉めているのが目に入った。
・・・ううむ。
どうやら、さっきのヲタクがイルミで転倒したことに怒っているらしい。
いや何でそこでキレるのだ?
正直なところ意味がわからないのだが、
見た目的に血気盛んな雰囲気は感じていたから、
なるほど「体のいい」カモを見つけたのだろうなあと。
僕は面倒なのも相まって仲裁に入ることなく、それを眺めていた。
別に止めてもいいのだが、もう手には4本目のタバコを握っている。
面倒だけれど、少し。
「これからどうなるのか? 」
というのを楽しみにしていた。
おうおうおうおう。
罵声のラッシュである。
よくもまぁ、ヤンキーが吠えている。
相手のヲタクはというと、確りと3人で固めて。
「そんなことないですよ!!」
「言い掛かりです!」
「人違いじゃないですか!?」
ああ~これは悪手だ。転けてたじゃん、盛大に。
素直に謝るか、無視してしまえばいいものを。
そうこうしているうち、タバコの4本目の終わりが近付いてきた。
喧騒の動静は気になるが、灰皿へと吸殻を捨てる。
「嘘つけ、あたしら見てたし!」
「転けてたじゃん、嘘つくなよ」
「〇〇、相手にすんなって」
格ゲーの連コをするように、今度は女性3人組がヤンキーの側に立って、ヲタクの非を連呼し始めた。うん、多分この女性3人はヤンキーの知り合いなのだろう。その中の一人はヤンキーに手を出さないように諌めていた。
なるほど、ヤンキー君は怒っているというより、自らの「力」を誇示したくて、都合のいい相手を見つけたのだろう。
と、するとアレか。
僕がトイレに駆け込む彼をもう少しガン見してたら、ケンカふっかけられてたのか・・・。おーう、それは面倒なものを回避できた。
サンキュー ヲタク!!
と心の中でガッツポーズ。
とはいえ、これ以上、放置していると本当に傷害沙汰になりそうな気配だ。
ヲタク(転けたやつ)をガードするようにヲタク(取り巻き1)が肉の壁になって、突っ込んでくる猛牛(ヤンキー)を食い止めている。というか何か知らない人(恐らく野次馬?)も、仲裁に入っている。
ええと・・・3人いたよね?
あれ?と思って、見回すと、件のヲタクの取り巻きの一人は。
女性3人のうち一番可愛い子に何故かニコニコしながら話しかけていた。
ええと、本当によくわかんねぇぞ。
なんなんだコレは。
5本目のタバコを吸うか、
スマホで警察を呼ぶか、
身体を張って、止めに行くか。
う~ん、どうしたものか。
「・・・あのー。どうしたんスか?」
と、話しかけることにした。
女性3人組の方に。
「あー実は〇〇が~」
うんうんなるほど。
「それで転けて~」
あー見てましたね、それ。
「で、〇〇が怒って~」
うーん、残念だ!あんまり可愛くないぞ!
がっつり関わっても損しかなさそうだわ!!!!!!!
「まぁ、〇〇さんが怒った理由がよく分かんないんですが、ここの公園の地主かなんかなんスか? あと、君らは、〇〇くんとはどういう関係なんスか?」
うんうん、ですよね~!!
ただのヤンキーですよね~!
分かってました分かってました。
そして、そうだよね~。
ただの知り合い程度だよね。
だって、ガッツリ止めてないし、賛同してないもんねwwww
「・・・ええと、〇〇くん? 君の言うことは聞くんじゃない?」
「え? 私ですか?」
女性3人のうち一番可愛い子(※比較対象として)に言ってみた。
どうせ、アレだよコレ。
「~ちゃんの前でええとこ見せたい!」ってだけじゃん。どうせ。
「とりあえず、周りに人も集まってきてるし。」
「めっちゃヒートアップしてるじゃん。」
「警察呼ぶからさ」
「〇〇くんには手を出させないように。」
「(彼が手を)出したとしたら、さっさと(君らは)撤収した方がいいよ。」
こんなことを伝えた。
というか、既に警察呼ばれてても変ではない。
「うわぁ、人でなしかコイツ」
みたいな目で見られたが、そんなもんだ。
まだ関わってるだけ、僕にしてはマシな部類だ。
ハッハッハ。
そうこうしているうち、待ち合わせの相手も来た。
はい、オッケー。僕はもう飲み会に行く。
警察に電話をしてもらい、
待ち合わせメンバーも気にしている喧騒を他所に、
僕らは飲み会へと向かった。
そして、その道中、てくてくと歩く僕らへ真っ向から
警察官が数名、せかせかと走ってくるのが見えた。
大変そうだなぁ。
もう、飲み始めて、遊び始めた頃には
僕は「彼ら」のことを忘れ去っている。
少しいつもより目減りした、タバコの箱を見て
「あれ?今日こんなに吸ったっけ?」と疑問に感じた頃に
ようやく思い出したレベルだ。
そう、ただそれだけのこと。
そして、ぼんやりと。
「まだまだ街は元気だな」と感じた。